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町の発明家のページ  やさしい特許 のお話

提供 テクノフジ特許事務所

弁理士 加藤雄二(著者の自己紹介


内容を読み始める前に「お気に入りに登録」をして下さい。なお、この著作権は全て私にありま
す。無断で転載することを禁止します。

町の発明家ライフ
 せっかくいいアイデアがあるのに「特許事務所なんかに手続きを依頼したら、ポケットマネー
がふっとんでしまう」という方は、ここを読んで下さい。 できる限りセルフサービスで特許等の
出願手続きができる方法をご紹介します。 会社の命運をかけた特許の出願には決しておす
すめできませんが、個人の趣味で、一度でいいから特許出願をしてみたいというような方は必
見です。 特許出願をすると、その内容は立派なパンフレットになって世界中に配布されます。
私は、大変に安上がりな自費出版だと思って利用しています。 このアイデアは、実はあのとき
私が考えたんですよ、と言える証拠になるからです。 出願書類のサンプルとパソコンを使った
特許庁に対するオンライン手続きの説明もします。 上手な特許の売り込み方法も紹介してい


特許とか、発明とかいう言葉はよく耳にしても、実際に特許の取り方やしくみを正確にご存知の
方はかなり少ないように思います。

それどころか、聞きかじりの誤った知識で特許の出願手続きをして出願費用を無駄にしてしま
った方がたくさん見受けられます。

また、無駄にしてしまったことに気づかない方も大勢見受けられます。

家庭の奥さんなど、多くの町の発明家の皆さんの中には、特許を取りたいんだけれどたくさん
お金がかかるからと、二の足を踏んでおられる方も多いと思います。

このホームページは、趣味で発明をして、なんとかポケットマネーで特許をとりたいと思ってお
られる町の発明家の皆さんに、よりいっそう発明家ライフをエンジョイしてもらうためのページで
す。

お金をかけないんだから可能な限りセルフサービスです。



目次











(注)ここに記載してあることは、全て最新の関係法令にのっとったもので、参考のために、根拠となる条文を書き込
んでおきました。「特」は特許法、「実」は実用新案法の条文です。興味のある方は、六法全書で確かめてください。

 まだ、このホームページは作り始めたばかりです。これから先は、このホームページをご覧になったかたがたの質
問やご希望によって少しずつページを増やして行きたいと思っています。

 楽しく役に立つページになるように、皆さんのご協力をお願いします。

 質問や疑問があれば、このアドレスに質問をお寄せ下さい。このホームページ上で回答させていただきます。

  質問箱 電子メールアドレス YUJI.KATO@nifty.com 

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著者の自己紹介
 わたしの仕事  わたしの仕事は弁理士です。

 弁理士は、顧客の依頼を受けて特許出願や実用新案登録出願、商標登録出願などの手続
きを、特許庁に対して行う仕事をしています。

 特許事務所には、事務管理部門と技術部門とがあります。

 事務管理部門では、日本や外国の特許庁への出願書類をタイプしたり、コンピュータで図面
を書く仕事をしています。

 技術部門では、それぞれ、顧客から依頼のあった電気、機械、通信、コンピュータ等に関係
する発明を理解して、少しでも強力な独占権をとるためにはどうまとめたら良いか頭をひねっ
て特許出願明細書というものを作っています。

 また、外国へ出願をするための翻訳もします。

 このほかには、商品のネーミングである商標の登録出願手続きや、サービス業のネーミング
であるサービスマークの登録出願手続きもしています。

 商標といえば、例えば「味の素」や「キューピーマヨネーズ」といったものをよくごぞんじでしょ
う。商標は、主として商品に付けて、商品の名前として使用されます。サービスマークというの
は、サービスに対して付ける商標です。「吉野屋」、「日本銀行」などはその例です。銀行は、お
金を売っているわけではなく、サービスを売っているわけですね。

 このほかに、特許になるかどうかの調査をしたり、特許の契約のお手伝いもします。

 わたしの趣味
 私は、物を作るのがすきで、発明も大好きです。
 仕事とは別に、私自身も、趣味で、自分のアイデアを特許出願しています。
 私も、一応、町の発明家の一人です。
 このほかに、老化防止のためにゴルフやスキー、バレーボールやテニスなど、いろんなスポ
ーツをやっています。

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町の発明家のみなさんへのメッセージ
 このごろは、特許や実用新案、アイデアの保護といった言葉が、新聞や雑誌、お茶の間のテ
レビでも盛んに使われるようになっています。

 しかし、本当にその言葉の意味を正しく知っている人は必ずしも多くありません。

 また、特許はどうすればとれるのか、費用は幾らぐらいかかるのかといった疑問に正しく答え
てくれるところが見つからないために、間違った理解をしている人も大勢います。

 非常に専門的な話が多くて、本屋でそのての本を立ち読みをしても良く分からないとおもいま
す。まさしく生兵法は大怪我のもとです。

 特に、特許法も実用新案法も最近頻繁に大きな改正が行われています。少し古い本では対
応できません。最新の法律を知らないととんでもないことになります。

 予備知識も何もないまま、あるいは誤った知識で手続きをして、高い費用を無駄にしてしまっ
た人もたくさん知っています。

 かといって、特許事務所に依頼をすると、1件の出願に30万円あるいはそれ以上の費用を
請求されます。町の発明家がポケットマネーをはたくには少々高すぎる金額ですね。

 そこで、おもいっきり易しく、しかも、最新版の正確な特許に関する知識を、このホームページ
で提供します。

 このホームページは著者が趣味で作成したものです。誰でも自由に閲覧できます。

 このページを閲覧して私といっしょに楽しい町の発明家ライフをエンジョイしてください。

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特許って何、実用新案て何?

発明とは、特許とは(注 かっこ内は法令の対応する条文です)

 特許というのは、発明をしたとき特許庁に特許出願手続きをして、審査をパスした後に認め
られる独占権です(特38条、特68条)。

 例えば、歩くと靴の底に取り付けたポンプが押されて笛が鳴るようにするといった技術が発
明です。

 これが特許になると、特許権者は、笛の鳴る靴を独占的に製造し、販売をすることができま
す。また、他人が同じものを製造販売しているような場合にそれを特許権侵害として裁判所へ
訴えることもできます(特100条)。

 でも、歩くと靴の底に埋め込んだ鈴が揺れて鳴るものや、ぴかぴか光るようにした靴やサン
ダルにまでこの特許権はおよびません。ポンプを使わない別の発明だからです。

 特許出願中というだけでは、他人の行為を禁止することはできません。審査をパスして、特
許の登録料を納めないといけません。

 また、特許は、一般に、出願してから審査をパスするまでに、3年位のの長い期間待たされ
ます。特許庁では審査促進のために様々な努力をしていますから、この期間はだんだん短くな
ると思われます。

特許庁のしくみに興味のある方は特許庁のホームページを見て下さい。


実用新案とは

 実用新案というのは、特許よりも少しレベルの低い実用的なアイデア(考案と呼びます)を特
許庁に出願して認められる権利です(実1条)。現在の法律では、無審査で自動的に登録され
ます(実14条)だから、登録されたからといってすぐに独占権が発生するわけではありません
(実29条の2)。

 ただし、出願すると半年もたたないで登録になります。また、特許と同じくらい立派な登録証
をもらえます。

 例えば自分の販売しようとする商品に特許出願中と書くよりも実用新案登録第○○号と書い
た方が格好がつくと思えば、こちらを選択するとよいでしょう。

 しかし、この実用新案制度には厄介な落とし穴があります十分に注意が必要です。

どんなアイデアが特許をとれるの?

株の取引方法とか、貯金の有利な増やし方とかいった純商業的なアイデア、連立方程式の解
き方といった純学術的なアイデアなどは、特許や実用新案の対象になりませんが、我々が普
段の生活でひらめくほとんどのアイデアは特許や実用新案の対象になります。そのアイデアを
独占したければ特許や実用新案の出願をします。もっと難しく説明するとつぎのようになりま
す。(注 かっこ内は法令の対応する条文です)

特許

 機械、装置、電気回路、材料、物や装置の部分的な構造、物の製造方法等、広い分野の技
術的なアイデア(発明)が特許の対象になります(特2条)。コンピュータのプログラムも、いろい
ろ書き方に工夫が必要ですが、上手に表現すれば特許されます(特定技術分野の審査基
準)。

実用新案

 実用新案は特許よりも少し簡単なアイデアを保護します。それではどのくらい?と聞かれて
も、わかりやすい物差しはありません。アイデアがどんな分野のものかによって様々だからで
す。特許は認められなくても実用新案なら認められるというものがたくさんあることは事実で
す。諸外国の中には、実用新案制度を持たない国の方が多いくらいです。

 少し難しくいえば、実用新案登録の対象は、機械、装置、電気回路、物や装置の部分的な構
造、物の形状や組み合わせ等のアイデア(考案)になります(実1条)。特許の対象である発明
と区別するために実用新案登録の対象を考案と呼んでいます(実2条)。

 なお、特許では「・・方法」が対象になりますが、実用新案では対象外になります。比較的簡
単な物の考案に独占権を与える制度だからです。この点を除けば、特許では認められないよ
うな簡単なアイデアも実用新案なら権利を認められるケースがたくさんあります(実1条)。

 特許で出願するか実用新案で出願するかの判断はこのへんも考慮してください。

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特許の寿命は?

特許出願日を2000年4月1日とすると、特許権は2020年4月1日で満了します。実用新案
登録出願日を2000年4月1日とすると、実用新案権は2010年4月1日に満了します。少し
難しく説明すると以下のとおりです。 

 特許権は、出願から20年間有効です(特67条)。その後はだれでも自由に利用できます。
審査にパスしなければ、それまでです。何の効力もありません。なお、本来特許されるべきでな
いものが特許されたときは、異議申立や無効審判といった制度によって特許の取消等の処分
がされます(特113条、特123条)。このときも、始めから独占権がなかった扱いになります。

 実用新案権は、出願から10年間有効です(15条)。その後はだれでも自由に利用できます。
それ以外の取り扱いは特許と同じです。本来登録されるべきでないものが登録されたときは、
特許と同様に無効審判という制度によって登録の取消等の処分がされます(37条)。

 何故特許権者に独占を認めるのか。一般には、発明を完成させるまでには大変な時間と
手間とお金がかかります。発明者の努力もたいへんなものです。他人の発明をさっさと真似す
るような人を放置すれば、苦労して研究開発をするよりも人まねをするに限るということになっ
て、だれもばかばかしくて研究なんかしなくなります。それでは、世の中に役に立つ発明がでて
こなくなります。だから、「どんどん発明をして下さい。発明をして特許を出せば独占できるから
儲かりますよ。」というふうにして、発明を奨励しているわけです。

 なぜ有効期間があるのか。発明者に発明を独占させれば、どんどん研究開発が盛んにな
ります。しかし、もし役に立つ発明をいつまでも独占させたままにしておくと、今度は、弊害が生
じてきます。例えば、無公害エンジンの発明がずっと独占されて、特許があるために高い自動
車を買わなければならない状態があまり続くと、せっかくの発明が充分普及しないで、需要を
満たすことができないという事態も発生します。

だから、発明者の保護もほどほどにということで、有効期間が設けてあります。

有効期間が切れた後は、みんなが自由にその発明を利用して世の中に一層役立つというわけ
です。

でも、特許が切れても電球はエジソンが発明したという事実は消えません。発明者は、永久に
たたえられるわけですね。

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特許権をとると何ができるの?

 発明品を自分で独占的に製造販売する場合には、需要を一手に引き受けるわけですから、
「タマゴッチ」みたいに高く売れて儲かるわけです。また、人に使わせるなら、実施料をもらえま
す。少し難しくいうと下記のとおりです。

 特許権者は、自己の発明を独占的に実施して、利益を得ることが出来ます。同時に、第3者
がその特許にかかわる発明を実施するのを禁止することができます(特68条)。特許にかか
わる発明というのは、特許を出願したときに作成した明細書の「特許請求の範囲」という項目
に記載された文で示された技術のことです。また、有償で実施を許諾することもできます(特7
8条)。特許権そのものを販売することもできます。

 他人の特許に関する物を販売したり、販売するために製造したり、一定の業務のために使
用した場合に特許権侵害となります(特68条)。

 つまり、他人の特許を真似てマイホームのドアの鍵を作っても特許権侵害にはなりません
が、うまくできたからといって何個か余分に作って友達に売りつけると特許権侵害になります。
ビデオやCDをコピーしたときの著作権の扱いと良く似ています。

アイデアの売り込み方法はQ&A集を見て下さい。

(実用新案もおなじです)

 実用新案権者も特許と同様に、登録された考案を第3者が実施するのを禁止することができ
ます(実16条)。また、有償で実施を許諾することもできます(実19条)。ただし一定の条件付
きです(技術評価書制度参照)

 実用新案権そのものを販売することもできます。他人の権利であっても、業務としてではなく
個人的家庭的にその考案をまねて実施したときには、実用新案権侵害にはなりません。これ
も特許と同様です。

 他人の登録実用新案に関する物を販売したり、販売するために製造したり、一定の業務の
ために使用した場合に実用新案権侵害となります(実16条)。

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〔技術評価書制度〕

実用新案に対する特許庁が発行する品質保証書です。

 実用新案は無審査で登録されます。だから、登録されたらすぐに出願人に強力な独占権を
与えるようにすると混乱を生じます。

 そこで、出願とは別に技術評価書の請求という制度を設けています(実29条の2)。この請
求をすると、特許庁の審査官が、そのアイデアが本当に独占権に値するかどうか審査します。
独占権に値するという結論が出れば、第3者の侵害差し止め等の法的な手続きが認められま
す。

 実用新案権者のみならず、第3者も自由にこの技術評価書の請求をすることができます(実
12条)。実用新案権者は、独占権の保証のために、出願中でも、登録後でも、技術評価書の
請求ができます。また、第3者は、その実用新案の価値判断のために技術評価書の請求がで
きるわけです。

 なお、技術評価書の請求により独占権に値しないという結論がでても、実用新案の登録が無
効になるわけではありません。請求の結果独占権に値しないという結論がでたら、登録料を払
い続けるのはもったいないので、自発的に登録料の支払いを止めて権利を消滅させます。

 このように技術評価書制度は、実用新案権者にとって登録された実用新案の黒白をはっき
りさせてしまうという点で、必ずしも常に請求することによる利益がある制度とはいえません。
灰色のままで、実用新案登録第○○号と表示を続けられたほうがよいこともあります。また,
技術評価書がなければ、権利の売買や実施の許諾契約ができないということもありません。個
人間の契約は全く自由だからです。

 だから、実用新案登録出願をした場合には、必ず技術評価書の請求をすべきだという考え
は誤りです。このあたりはとても重要です。

 この請求には登録料とは別に大分お金もかかります。(別表2参照)権利の買い主から要求
されたときや、侵害警告をしなければならないといった必要性が高まったときだけ請求を検討
するべきでしょう。

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特許庁はどこにあるの?

 東京の港区虎ノ門にあります。詳しくは、特許庁のホームページをご覧ください。


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特許庁への出願手続きを自分でするのは面倒なの?


 かなり、めんどうです。サンプルをごらん下さい。

 出願をするには、特許庁で定めた一定の書類(願書、明細書、要約書、図面)の提出が必要
です(特36条)。また、特許庁は、これらの書類を電子化して提出することを要求しています。
電子化は、特許庁で有料でしてくれます。また、特許事務所に依頼することもできます。

 なお、1999年1月からは、特許庁へのほとんどの手続は、原則としてオンラインですること
になりました。書類の形式は、インターネットでよく知られたHTMLデータです。特許庁から無
料で配布される書類の電子化と通信用のソフトを使って、普通のバソコンにより手続きをしま
す。これは世界で一番進んだ方法です。詳しくは特許庁のホームページをごらん下さい。

 ただし、出願書類自体の形式はちっとも簡単にならないので、だれでも簡単にバソコンから
特許出願をするという状態にはほど遠いのが現実です。しかも、オンラインの手続きをしない
で紙を使った手続きをすると、余計な手数料をとられます。これも、特許庁のホームページで
確認をして下さい。なお、特許庁のホームページで紹介している発明協会の窓口に無料で使
用できる端末が準備してあります。手続きはこれを利用されると安上がりでしょう。

 実用新案登録出願をするにも、特許庁で定めた一定の書類(願書、明細書、要約書、図面)
の提出が必要です(実5条)。また、特許庁は、これらの書類も特許と同様に電子化して提出
することを要求しています。

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手続きのための費用はどのくらい?

(特許に関する費用)


 出願のとき要求される手数料は全て特許印紙により支払います。特許印紙は郵便局で売っ
ています(特195条別表)。

 特許出願料は内容やボリュームにかかわりなく1件につき16000円です。

 一定の形式でタイプした出願書類を紙で提出すると、このほかに電子化手数料を請求されま
す。

 さらに、出願したものを審査してもらうのには、審査請求料がかかります。

 登録になると登録料がかかります。

 これらの費用は、具体的には、特許庁のホームページをごらん下さい。

(審査請求制度)

 出願したものを特許にするには、出願したままではいけません。審査を請求する必要があり
ます。特許にするための審査を請求するには、請求項の数(サンプルを参照して下さい)に応
じた審査請求料を支払わなければなりません。

 審査請求料は大変に高額ですから、貧困で資力の無いもののため、手数料を安くしたり、免
除してくれる規定があります(特195状の2)。詳しくは特許庁のHPを見てください。


 審査請求の手続きは出願後3年を経過するまでいつでもできます(特48条の3)。だから出
願後に関連分野の技術を調査して、特許にすべきかどうかの価値判断をしてから審査を請求
することができます。

 例えば、あらかじめ特許の販売交渉を進めて、売れそうなら審査請求をするのも良いでしょ
う。

 なお、特許出願から3年を経過するまでに審査請求の手続きがされないときは、出願全部が
取り下げたものとみなされます。権利化の意思がないものとみなされるからです。注意して下さ
い(特48条の3)。

(登録料)

 審査にパスして特許権が発生するとその後は登録料を支払います(特107条)。登録料は1
年分ずつ支払います。権利期間が長くなるほど高額になります。

(実用新案に関する費用)

 実用新案登録出願で要求される手数料は全て特許印紙により支払います。特許印紙は郵
便局で売っています(実54条別表)。

 出願料は請求項の数に応じて異なります。出願料には、出願から3年分の登録料も含まれ
ます(実32条)。出願料は一覧表3のとおりです。

 出願から3年を経過すると実用新案権を継続させるための登録料を支払います。登録料は
1年分ずつ支払います。権利期間が長くなるほど高額になります。

 実用新案の場合、セルフサービスで出願をすると、出願のとき1件約5〜7万円位かかると
考えて下さい。

(特許事務所に依頼する場合の費用)

 特許や実用新案の出願を特許事務所に依頼すれば1件で大体30万円位費用がかかりま
す。

 出願後に、特許庁の審査が開始されて登録されるまで、特許庁に対していろいろな新たな手
続きをする場合には別に手数料を請求されます。

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こうすると失敗するベカラズ集

1.とりあえず適当に書いたものを出願しておいて後から修正しようとする。

 これはだめです。特許でも実用新案でも、真っ先にアイデアをまとめた書類を特許庁に提出
したものに独占権が与えられます。出願をした日が先の者が独占権を得るわけです。

 もし、先に出願手続きをしておいて後から、その出願書類にどんどん新しいアイデアまで書き
加えてよいとしたら不合理ですね。

 だから、出願のとき書類に書かれていた範囲でのみ独占権があたえられます。出願の後
は、新規事項の追加記入は一切認められません。

 これは結構厳しい制度です。ちょっと書き損じただけでも、明白なタイプミスと認められる程度
でなければ訂正はできません。また、訂正できる時期も制限されています。

 ちょっとした表現のまずさから、権利の内容が狭くなってしまっていることに気付いても、全く
修正ができないこともあります。残念ながら、個人で手作りの書類を提出されたと思われるも
のの多くが、このパターンです。そんな出願をネタにして、特許の売り込みをしても、一流メーカ
ーに対しては何の効き目もありません。

2.実用新案制度の落とし穴にはまる。

 (このへんの説明はかなり難しくなります。わけがわからなくても心配しないで下さい。要する
に、弁理士に相談をしてみて下さい。電子メールでよければ質問箱へどうぞ。可能な範囲でお
答えします。)

 特許の出願をして、審査の請求をすると、審査官から出願の内容について特許すべきかどう
か、あるいは、記載上の不備があるかどうかの通知が届きます。出願人は、その内容にした
がって、出願時に記載された事項の範囲内で、文章を整えることができます。

 しかし、実用新案制度は、無審査で登録されるため、出願のとき、「実用新案登録請求の範
囲」という部分に記載上の不備があってもそのまま登録されてしまいます。

 「実用新案登録請求の範囲」は、権利の内容を示し、権利を主張するための根拠になる部分
です。その記載内容に不備があれば、全く権利を主張することのできない空手形を登録したこ
とになります。しかも、「実用新案登録請求の範囲」の不備を登録後に訂正することのできる範囲が
きわめて限定されるので、これが致命傷になります。

 登録された実用新案の内容を公表するために特許庁から発行される実用新案登録公報を
眺めると、「お気の毒に!」と、思う出願が山ほど目に付きます。

 「特許請求の範囲」もそうですが、「実用新案登録請求の範囲」の記載だけは、専門家である
弁理士のアドバイスを受けることをおすすめします。

 なお、医者の場合には、外科、内科、小児科というように専門があります。弁理士も、機械関
係、電気通信関係、化学関係、商標関係、というように専門があります。専門分野を尋ねてか
ら手続きを依頼するのが賢い弁理士の選び型です。

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